鹿島茂『神田神保町書肆街考』

書原つつじが丘店でちょっとだけ立ち読み。神保町の書店街の成り立ちについて書かれている。 「白樺派と東条書店」という章があり、里見弴が古本を売った店は東条書店だったとあった(違う店の名前を里見は記憶していたが)。鹿島氏らしい、相変わらずの情報…

譚璐美『戦争前夜:魯迅、蒋介石の愛した日本』

実篤記念館公式twitterに教えていただいた本。出先の書店にあったので、パラッと見る。 内山書店の紹介で魯迅と実篤が会い、魯迅を「いい人物」と見たという実篤の短い感想が出ている。 魯迅は同じ内山書店の紹介で会った野口米次郎に対して、自分の知りたい…

芳賀徹『桃源の水脈―東アジア詩画の比較文化史―』

「桃源郷」の系譜を中国̪詩画、日本詩画からたどる本のようである。未見。Amazonで「実篤」で検索したら、最新のものがこれだった。 上田秋成、「草枕」、 小川芋銭、小杉放菴などもとりあげられ、「アジアにおける『新しき村』運動—— 武者小路実篤から周作…

北村薫『中野のお父さんは謎を解くか』

短編集。「火鉢は飛び越えられたのか」では、尾崎紅葉の亡くなった後、泉鏡花が徳田秋声を殴ったという話がとりあげられているが、その証拠として里見弴の文章も出てきている。いずれじっくり読もう。 中野のお父さんは謎を解くか作者: 北村薫出版社/メーカ…

里見紝『荊棘の冠』が初の文庫化

近刊検索βによると、里見紝『荊棘の冠』が講談社学芸文庫で刊行されるそうだ。発売予定は3/10。本作は初の文庫化とのことだが、最近里見紝の作品が次々と文庫化されていてうれしい。荊棘の冠 (講談社文芸文庫)作者: 里見とん出版社/メーカー: 講談社発売日: …

岩波文庫秋の一括重版で『カインの末裔・クララの出家』

岩波文庫秋の一括重版(2011秋)で、有島武郎『カインの末裔・クララの出家』も重版がかかる。2011/11/10発売とのこと。 岩波書店/秋の一括重版 http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/bunko11a/index.html カインの末裔/クララの出家 (岩波文庫 緑 36-4)作者: 有…

林真理子編『10ラブ・ストーリーズ』(朝日文庫)

林真理子編集の『10ラブ・ストーリーズ』(朝日文庫、2011年11月刊)に、「愛と死」が収録されているそうだ。「野菊の墓」とのカップリングというのはわかるが、そのほかの収録作品は 田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」岡本かの子「老妓抄」瀬戸内寂聴「夏の…

読書週間と読書メモ

今日から読書週間ということなので、私の読書メモについてちょっとだけ書いておく。 私はこれまで読書メモがうまくつけられなくて、ずっと読みっぱなしだったのだが、鹿島茂の『成功する読書日記 』を読んでから抜き書きのメモだけは続けている。今はもう11…

『漱石書簡集』(岩波文庫)

外出先で立ち寄ったブックオフの100円均一棚で、岩波文庫の『漱石書簡集』(三好行雄編)を買った。漱石全集は無理だが、書簡集だけでも手元に置いておきたかったので、うれしかった。 漱石が実篤に出した書簡も3通収録されている(タイトルは同書の目次によ…

「和楽」2011年11月号にバーナード・リーチ

新聞の広告を見ていたら、まったく縁のない雑誌なのだが小学館の「和楽」の最新号に「バーナード・リーチと民藝」という文字を見つけた。 公式サイトを見てみると、「彬子女王殿下が贈る「日本美のこころ」第11回/英国セント・アイヴスへ。/陶芸家バーナード…

高峰秀子『いっぴきの虫』(文春文庫)

文春文庫の新刊で高峰秀子の『いっぴきの虫』が出ていた。高峰さんの本は注意して見るようにしている。濱田庄司や梅原龍三郎の話も出ていた。角川文庫(1983年)の再刊。いっぴきの虫 (文春文庫)作者: 高峰秀子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/10/07メ…

百年文庫96『純』に「馬鹿一」収録

ポプラ社から出ている百年文庫というアンソロジーシリーズの第96巻『純』に、実篤の「馬鹿一」が収録される。その他に高村光太郎「山の雪」と宇野千代「八重山の雪」を収録。純 (百年文庫)作者: 武者小路実篤,宇野千代,高村光太郎出版社/メーカー: ポプラ社…

文春文庫秋の100冊フェア2011

書店では文春文庫秋の100冊フェア2011なるものをやっていた。チラシを見ると、現代小説が中心で白樺派の影も形もないが、かろうじて高峰秀子『わたしの渡世日記』(上・下)(表紙は梅原龍三郎)が入っていた。 文春文庫 秋の100冊フェア2011 http://bunshun…

里見紝『朝夕 感想・随筆集』

講談社文芸文庫から里見紝の感想・随筆集『朝夕』が出るそうだ。底本は1965年8月講談社刊。「私の履歴書」や志賀や谷崎との交流についての文章などがあるらしい。里見の文庫本は少ないので、出版はうれしい。 『朝夕 感想・随筆集』里見紝 講談社 http://www…

「大人の文房具」に実篤の万年筆

8月下旬発売の「大人の文房具」というムックに「作家の道具」というコーナーがあり、そこに1ページ、「武者小路実篤とパーカーの万年筆」と紹介されている。ちょうど書店に並んでいるころだと思うので、ご参考まで。大人の文房具【文豪たちに愛された傑作文…

『浅川伯教の眼+浅川巧の心』

『浅川伯教の眼+浅川巧の心』(伊藤郁太郎・監修)を借りてきて、ながめている。高崎宗司氏のインタビュー(聞き手は杉山享司氏)や土田眞紀氏の論文などがありワクワクするが、最後にある伊藤郁太郎氏と熊倉功夫氏の対談がすごかった。お互い譲らずスウィ…

五十嵐伸治ほか『大正宗教小説の流行』

時折Amazonで「武者小路実篤」と検索して、出版日の新しい順にながめているのだが、今回『大正宗教小説の流行−その背景と“いま”』(五十嵐伸治、佐野正人、 千葉幸一郎、千葉正昭・編)という本を見つけた。白樺関係では、 鈴木斌「白樺派と宗教−武者小路実…

書原つつじヶ丘店・仙川店

京王線つつじヶ丘の駅前には「書原」というすばらしい新刊書店があるので、本好きの方は実篤記念館へおいでの際には、ぜひお立ち寄りいただきたい。北口、スーパーオオゼキの隣の地下で、特に人文系の方には満足していただけると思う。 取次が送ってきた新刊…

伊藤礼「横浜まで」

伊藤礼の『大東京ぐるぐる自転車』はおもしろい本だが、読んでいたら下高井戸から横浜まで自転車で行く話が出ていた。その中で志賀直哉の「自転車」を取り上げて、その自転車好きな様子を説明していたが、明治の中頃、日露戦争の前に、 当時の日本の自転車の…

奥村直史『平塚らいてう−孫が語る素顔 』

有隣堂で新刊の棚を見ていたら、『平塚らいてう−孫が語る素顔』(平凡社新書)が目に入る。著者は奥村直史。「青鞜」と「白樺」は1歳違い。らいてうと実篤も1歳違い(「白樺」、実篤の方が1年早い)。らいてうのお孫さんが本を書く時代なのである。平塚らい…

『文豪怪談傑作選・大正篇 妖魅は戯る』に志賀作品

今月発売の東雅夫編『文豪怪談傑作選・大正篇 妖魅は戯る』(ちくま文庫)に志賀直哉の作品も収録されているらしい。bk1にあった、編者による内容一覧を見ると、「イヅク川/夢/焚火/梟/黒犬/夢から憶い出す/病中夢/昨夜の夢/妙な夢/怪談」だそうだ…

岩波文庫フェア 名著・名作再発見!

新潮文庫などにくらべると地味だが、岩波文庫でも「名著・名作再発見! 小さな一冊を楽しもう」というフェアをやっていた。見つけたので、メモ。 実篤はなし 志賀は「小僧の神様 他十篇」 その他は、トルストイ「民話集 イワンのばか 他八篇」(中村白葉訳)…

半藤一利『墨子よみがえる』の参考文献に実篤

半藤一利の『墨子よみがえる』(平凡社新書)はおもしろそうだったので、図書館で借りてみる。まえがきを読んで、あとがきを読んで、参考文献をちらっと見たら、実篤の『墨子』(1935、大東出版社)も挙げられていてびっくり。実篤に呼ばれているのか、呼び寄…

海野弘『おじさん・おばさん論』

海野弘の『おじさん・おばさん論』を読んだ。親子のような上・下関係ではなく、斜めの関係というのが興味深かった。著者自身の話も書かれていたが、私もおじ・おばから受けた影響は小さくなく、それをあたたかく思い出せただけでも読んで良かった本だ。なお…

「東京人」2011年8月号に日本近代文学館のレポート

「東京人」2011年8月号に、「『日本近代文学館』という文学の海を旅する」(与那原恵)という文章が載っていた。近代文学館については詳しい中身を知らなかったので勉強になった。作家の蔵書などが寄贈されており、志賀直哉文庫もあるとのことだったが、たし…

矢野誠一『昭和の藝人 千夜一夜』に宇野重吉の「馬鹿一の死」

矢野誠一の『昭和の藝人 千夜一夜』(文春新書)は落語家や寄席の芸人の話と思って読んでいたら、演劇人も出てくる。宇野重吉が出てきてびっくり。しかも宇野重吉一座の話や最後の舞台「馬鹿一の死」の千秋楽に楽屋に行った話なども出てきて、ほんとうにびっ…

「新潮文庫の100冊 2010」

「新潮文庫の100冊」公式サイトには、「100冊の歴史」というページがあり、歴代の100冊の一覧がある。そこで、昨年blogに書き忘れた「新潮文庫の100冊 2010」を調べて書いてみる。 新潮文庫の100冊 2011 http://100satsu.com/ 実篤の『友情』が入っていた。 …

集英社「ナツイチ2011」と「発見!角川文庫2011」

集英社の「ナツイチ」には、志賀直哉『清兵衛と瓢箪・小僧の神様』が入っていた。カテゴリーが「テキストブック」となっていたのはなんだが、「こころ」や「星の王子さま」と一緒だからよしとしよう。それ以外には「武者組」的関心作はなし。 表紙が変わって…

「新潮文庫の100冊 2011」

書店では夏の文庫フェアまっさかりだが、「新潮文庫の100冊」2011年版に実篤の『友情』は入っていなかった。ここのところ1年おきに採用されていて、今年は裏年(?)のようだ。2009年のblog(id:musha-gumi:20090719)に書いていた。去年は書き忘れたようだ。 志…

『首都圏 美術館・博物館ベストガイド』(メイツ出版)

『首都圏 美術館・博物館ベストガイド』という本が出ていた。発行は2011/5/15で出たばかりだが、最新の美術館ガイドだ。美術館・博物館が中心だが、コラムとして「珠玉の文人作家コレクション」というページがあり、吉川英治記念館、林芙美子記念館とならん…