伊藤礼「横浜まで」

伊藤礼の『大東京ぐるぐる自転車』はおもしろい本だが、読んでいたら下高井戸から横浜まで自転車で行く話が出ていた。その中で志賀直哉の「自転車」を取り上げて、その自転車好きな様子を説明していたが、明治の中頃、日露戦争の前に、

当時の日本の自転車の性能、道路の事情を考えると、横浜往復を遠乗りとも思わず、すいすい通っていたのはすごいのである。

と称賛していた。自転車旅行の行き先を横浜にしたのは志賀を意識したからで、この文章の結構も志賀を意識したものであるのは、読んでのお楽しみ。
志賀は学校の往復はもちろん、友達のところや買い物も自転車で出かけていたというから、実篤のところにも自転車で来ていたのだろうか。

大東京ぐるぐる自転車

大東京ぐるぐる自転車