「新しき村美術展」を見てきました

調布市文化会館たづくり2階で始まった新しき村美術展を見てきた。思ったよりも広く、3つのコーナーに分かれていた。入ってすぐは実篤のコーナー。書や絵が飾られ、先日新しき村美術館で見てきたばかりの「お元気で」という人形の絵も調布まで来ていた。作品はすべて新しき村美術館の所蔵品で、写真パネルなどは実篤記念館から出品されていた。書には「満七十八歳になった日」や、「八十九歳誕生日」と記されていて、そういう特別な日に書いたものを村に贈ったのだとわかる。村と実篤の絆を思うと、なんだかそれだけでも特別なものに見えてくる。
次のコーナーが村内・村外会員の作品。いきなり椿貞雄、高田厚博、柳宗悦とビッグネームが続く。杉山正雄さんの書はやはりいいし、城米彦造さんの作品もスケッチブックの原寸大で見るとすてきだ。永見七郎さんの書は、詩の内容もすばらしいが、流麗でとてもうつくしい書だった。川島伝吉さん、野井十さん、根津与さん、根津忠男さんといった人たちの作品は、作品もすばらしいが、村での労苦を思うとさらに胸に迫るものがある。実篤記念館の展示を見てから、こちらの展示を見ると、さらに深く感じ入るものがあると思う。
新しき村美術館で目を奪われた渡辺修さんの「村の柚子」も来ていた。ざっと描かれた黄色が美しい作品だ。河内洋子さんの「一日」という書も、詩にうたわれた村の一日の生活がしみじみと感じられ、手帳に書き留めた。
最後のコーナーは村の様子の写真パネルとビデオ上映。実篤記念館で見たことがあるはずだが、先日村を見学し、今日こうやって会員の作品を見て、会場で受付の方のあたたかな表情や新しき村の石川理事長を拝見していると、これまでと違う迫力をもって見えてくる。ビデオでは寺島洋さんがシイタケ栽培のいきさつを話されているところだったが、近くまで団地が迫ってきたことを、消費者がやってきた、近くで売れるととらえておられたのが、災い転じて福となす風で印象的だった。
もう一度会場をぐるりと見て回り、受付の後ろにあった実篤の自画像をじっくり見て(これまた特別に見える)、会場を後にした。
11/30(日)までだが、興味のある方はぜひご覧いただきたい。