「君は君 我は我也 されど仲よき」(実篤記念館)

実篤記念館に「君は君 我は我也 されど仲よき〜実篤の交友〜」展を見に行き、展示解説を聞いてきた。学芸員の方(今回は福島さとみさん)の話を聞くと、一段とわかりやすく、勉強になった。皆さんもタイミングがあえば、展示解説をお聞きになることをおすすめする。
実篤と「白樺」の仲間たち、近代日本の作家や画家たちとの交流を紹介する展示だったが、志賀と親しくなり始めたころのぎこちない手紙で始まり、志賀との友情を振り返る最晩年の文章で終わるすてきな構成だった。しかも展示解説では、今回は出品していない「友情の杖」(志賀が木を削って自分用と実篤分をつくった手作りの杖)を収蔵庫から出して間近で見せていただくサプライズ付き。木目まではっきり見ることができ、とてもうれしかった。
その他、漱石が実篤に宛てた手紙もあり、有島武郎と長与善郎の書は立派なものだった。谷崎潤一郎の手紙、小林古径前田青邨の絵などもあり、それぞれの交流もうかがえた。解説によれば、実篤の魅力的な人柄が多くの人々を引きつけたのだろうとのことだった。明るい実篤を中心にいろいろな人が集まってくる様子を目のあたりにするような楽しい展示だった。3/4(日)まで。