読書講座「実篤と漱石−『それから』の受容を中心に−」(@実篤記念館)

記念館を見学してから、読書講座に出席。講師は瀧田浩先生(二松学舎大学准教授)。まず、漱石が実篤に宛てた手紙から、実篤との心の交流を考えた。その中の1通は、まさしく今回記念館で展示されているものだ。18歳年下の新人に向けた漱石の細やかな心遣いと、気質の面で通い合うものが両者にあることを見た。
その後、「白樺」創刊号の巻頭に掲げられた「それからに就て」を、漱石と実篤の接点であり、分かれ道という観点で読んだ。最後に「それから」の連載中に実篤が書いた「生れ来る子の為に」を読んだ。今風に言うと、「インスパイヤされた」とでも言うものか、実篤なりの「それから」解釈があって興味深かった。
「それから」と「おめでたき人」、あるいは「それから」と「友情」の関係が示され、それらを往還することで新しい読み方ができるというのはとてもおもしろかった。