「『白樺』誕生100年 白樺派の愛した美術」(神奈川県立近代美術館・葉山)

葉山の神奈川県立美術館に「白樺派の愛した美術」展を見に行ってきた。午前中は曇りだったが、新宿から湘南新宿ラインで逗子まで。こじんまりとした駅前では、ビルの屋上のアンテナにトンビがとまっている。バスは日影茶屋の前を通って、美術館へ。
展覧会場に入ってすぐ、ロダンから贈られた3つの像と、白樺美術館のために購入したセザンヌの「風景」。いきなり真打ち登場で温度が上がる。第1室は彼らが愛した西洋美術が、彼らが見たそのものを中心に並べられている。ロダンセザンヌ、ゴーガン、ブレーク、デューラー等々。「白樺」全冊も展示されて、取り上げた美術家の分析などもまとめられている。今回おもしろかったのは、クリンガー。映画的な画面がかっこいい。西洋への憧れとバタ臭い感じが私の中で一致した。同じくフォーゲラーの絵も青春の甘さがあり、いかにも若者が好みそうだと再認識した。
第2室は「白樺」とその周辺の作家たちの作品。有島生馬、岸田劉生梅原龍三郎、山脇信徳等々。今まであまり見たことのなかった作家も出ている。第3室は少し狭く、文学関係の展示。手紙や日記、「白樺」主催の美術展目録や写真などが展示されている。劉生の実篤像や同人の自画像などがあるが、中川一政の自画像が中村獅童に似ていたのがおかしかった。
会場を何度も行ったり来たりして、作品をじっくり見た。個人的にはとても密度の高い展覧会だった。午後の講演会を前に見終われるのかと不安になるぐらい。一人一点しかない画家がいたり、まとまりを欠いた感もあったが、実物を前にすると彼らの感じた熱気がのりうつってくるようで、とても楽しい時間を過ごせた。
なお、これで今年は行きたい展覧会にすべて行けた。ありがたい。