実篤記念館の閲覧室にて新刊2冊

実篤記念館の閲覧室には、新刊図書のコーナーがある。実篤や白樺派に関する本はほとんどすべて見ることができると言っても過言ではない。記念館を見学するときは必ずチェックするようにしている。
今回は、『生田長江批評選集 第2巻』と『芸術はどこから来てどこへ行くのか』を少し読んだ。
前者は白樺派自然主義前派の跳梁と批判した、憎っくき(苦笑)生田長江の選集で、中に「無抵抗主義、百姓の真似事など」(1924.7)という文章があった。これは新しき村やその他の農本主義を目指した共同体の試みへの批判のようだが、「現在の農業は半ば以上商業化されている(農家は作物を高く売りつけようとしている)」「著作業生活の方が商業化されていない」という主張は、実篤のそれと真逆なので唖然とした。仮に当時の農家が売らんかなという姿勢だったとしても、新しき村は自給自足を目指した企てであり、著作業が寄生生活であることは疑いがない。わざと逆張りをしているのかもしれないが、戦略にしても底が浅いと言わざるを得ない。
超近代とは何か 2―生田長江批評選集 信と善
後者には、仲間裕子氏の「雑誌『白樺』の西洋近代美術観再考」のところにしおりが入っていた。「白樺」はロダンやポスト印象派の紹介ばかり注目されるが、それに加えて同時代のドイツ美術に傾倒しており、その様子をとらえなおすとしている。
芸術はどこから来てどこへ行くのか